フリーランスの振り返りと会社設立

 
2023年9月にstable株式会社という、データエンジニアリングやデータ分析領域の支援を行う会社を設立しました。
 
あまり自分のことについて話す機会もないので、会社を設立しようと思った経緯や、今後やっていきたいことなど、今思っていることを書いてみようと思います。
 
 
 

フリーランス活動の振り返り

 
会社を設立した経緯を説明するにあたって、元々何をしていたのかを説明した方が良いと思うので、まずはフリーランス活動をざっと振り返ってみます。
 
 
去年フリーランスとして独立して約1年間、スタートアップやベンチャー企業数社で、データエンジニアリング・データ分析領域の仕事をしていました。主にdbtを使ったデータモデリングや、ダッシュボードの作成と裏側のデータマネジメント、たまにデータ分析という感じで働いていました。
大変ありがたいことに、独立当初に契約していただいた会社さんとは、中長期で関わらせて頂いたので、案件が途切れたりすることもなく、特に新規営業などもしていませんでした。非常に恵まれていたと思うので、この恩は今後返していきたいと思っています。
 
フリーランス活動は、自分という人間にフィットしていて、ほとんど不満に思うことがありませんでした。まずは良かったポイントについて、いくつかのトピックに分けて、振り返ってみたいと思います。
 
 

自分が出せる価値が大きくなった感覚

 
一番良かったなと思うのは、自分が出している価値が大きくなった感覚があったことです。
 
あくまで自分の感覚の話なので、実際どうなのかは知りませんが、数社と関わらせて頂くことで、1社だけで働いているときの数倍の価値を出せている感覚がありました。具体的なイメージで言うと、正社員時代に1社だけで働いている時の価値を100とすると、3社で働いた時に200~300ぐらいの価値を出せている感覚です。
自分にとっては、複数社でそれぞれの環境における課題をキャッチアップしつつ、それに合わせて問題解決にあたるという動きが向いていたので、数社で働くという働き方はとてもマッチしていたと思います。
 
私は働く上で、「自分が価値を出している感覚」をとても重視しているので、出せている価値が大きくなったということは、それだけで幸福な状態であったと言えます。
困っている人が自分を必要としてくれて、自分が価値を出して、相手から感謝される、というサイクルを回せたことが幸福感に繋がりました。
 
 

経験の幅が広がった

 
次に良かったのは、経験の幅が広がったことです。
 
自分は、フリーランスをやっていくにあたって、労働力を数社に分散させて案件を受けるということにこだわっていました。週5日でコミットするタイプのフリーランスの方も多いかとは思いますが、私は数社に分散させたいと思っていて、稼働を増やしてほしいと打診されても、極力お断りしていました。
その理由は、前述したように自分が出せる価値の総量が増えることや、収入を安定させるためという理由もありますが、幅広い経験を積むということも大きな目的としてありました。
 
データエンジニアが使うツールは、クラウドプラットフォームによって使うツールが決まったり、1度導入したら余程のことがない限りリプレイスをしないものが多いと思うので、1社で経験できるツールの種類はそこまで多くはありません。具体的には、BigQueryかSnowflake、dbtかdataformかのどちらかしか経験出来ないという話です。
私は数社に関わってきたので、このあたりのツール・技術の経験幅が圧倒的に増えました。昨今、データ領域では、Modern Data Stack(MDS)と呼ばれるようなツール群が、日進月歩で登場してきているので、経験幅が広いことはそれだけで価値になることもあります。
 
また、ツールや技術の話だけではなく、データチームの社内における位置付けや、抱えている課題にも多く触れてきたと思います。例えば、事業側に深く入り込んでいるタイプと、依頼を受ける形で外部からサポートする形、のように会社によってデータチームの形は様々です。
それぞれの良いところや、どういう問題が起きやすいか、などが分かるようになってきて、状況を俯瞰的に見れるようになるので、データチームの戦略的なサポートも、客観的な立場からしやすくなったかなと思います。
 
 

会社を作ろうと思った理由

 
前述の通り、フリーランス活動は基本的に満足していて、点数で言うと90点ぐらいの満足度がありました。ですが、勿論う〜んと思うことが残りの10点分ぐらいあって、それを100点にするために会社を作ろうと思いました。(余談:一生100点に到達することはない気がしますが)
 

勉強やスキルUP面で個人の限界があった

 
個人でやっていると、新しい技術が出たときに技術検証をしたり、データモデリングについてちょっとした相談をしたりすることがあまり出来ませんでした。新しいツールがどんどん出てくる昨今のデータ界隈で、広く浅くキャッチアップするしかなかったというのが正直なところです。
チームでやっていれば、誰か一番興味ある人が新しい技術をサッと試して、周りに教えてあげるみたいな動きもしやすくなると思います。技術革新のスピードが早い現在のような環境においては、個人が淘汰されやすく、チームが生き残りやすいのではないでしょうか。
 
また、同じようなことを思っているのは、自分だけではないとも思いました。
スタートアップで働いているようなデータエンジニアの方は、社内に1人か2人だけのようなことが多いです。エンジニアと違って、アーリーステージから5人も10人もデータエンジニアがいる会社は稀です。
私の予想ですが、そのような方も、私が抱えているような、技術検証の辛さやディスカッションが出来ないことによる不満を抱えていると思います。
なので、データエンジニアが集まる会社を作ることに意義はあるし、それにメリットを感じてくれてジョインしてくれる人もいるだろうと思い、会社を作ろうと思いました。
 

仕事で得られる達成感があまりない

 
フリーランス生活は、ストレスが少なく、90点ぐらいの幸福感が常に続いている感覚でした。それはそれでとても良いことなんですが、チームで大きな仕事をしたときの大きな達成感や、目標に向かって努力するような感覚はあまり無かったかなと思います。つまり、120点を取れる体験がありませんでした。
それは1人でやっていることが一つの要因だと考えています。1人で仕事をするのは余計なストレスがなくて楽ではありますが、チームで同じ目標を達成したときに得られる快感は、1人でやっていては得られないものだと思います。
お客さんとは仲良くさせてもらっているので、ありがたいことに半分は仲間という感覚でやらせてもらっているのですが、半分はお客さんなので、やはりそこの差はあると思ってます。
 
なので、チームとしてプロジェクトにあたることで、クライアントに価値を届けられたことの喜びや、メンバーが成長していくことの喜びを共有することができ、チームで達成感を得られるのではないかと思っています。
 
 

どういうことをしていくの?

 
当面は、フリーランスの活動をアップデートしつつ、仲間を集めてチームとしてプロジェクトにあたる体制を整えていこうと考えています。
 
まだ創業したばかりで構想段階という感じですが、会社としてのスタンスをいくつか挙げたいと思います。
 

事業価値を出すことを目的とする

 
弊社はデータ領域の専門家として、データ領域で支援を行っていく会社ですが、その大目的には事業価値を出すことがあります。つまり、データを整備したり分析したりすること自体が目的ではありません。
 
データ基盤やその活用を通じて、意思決定の精度を上げたり、データを活かしたプロダクトを作ったり、データチームのプレゼンスが上がったり、様々な要素を通じて、最終的に事業価値につながることを目的としています。
 
データがもたらす事業価値を測定することが困難である以上、定量的に測定していこうという訳ではありませんが、データを目的と捉えず、事業価値を目的と捉えるマインドを常に持つことは重要だと思っています。
特定のツールや技術にこだわり過ぎたり、価値につながらないタスクをこなすようなことは避け、事業価値につながることだけにコミットしていく会社でありたいと思っています。
 
 
 

中長期で内製化を目指すパートナーになる

 
これまでのフリーランス活動が中長期的な関わりであったように、中長期的なパートナーとして関われる案件をメインとしています。短期の開発プロジェクトを受託して、ガンガン回すようなことを目指すのではなく、中長期でデータチームを支援するパートナーのような関わり方を志向しています。
 
イメージは下図の感じで、これからデータ活用を強化していきたいというクライアントに対して、伴走する形で関わっていけたら良いと思っています。
 
企業におけるデータ活用の道のりは、データチームの立上から運用まで長い道のりであり、解決すべきイシューも多岐に渡ります。それぞれのイシューに対して、我々が支援できることを見極めつつ、中長期でコミットしていきたいと思っています。
 
また、図でも示しているように、我々が関与する割合というのは、フェーズに応じて減っていくものと考えています。立上フェーズで、社内にデータ人材が0~1人の頃は、我々が手を動かしてデータ基盤構築を行ったり、データ戦略立案のサポートをすることが価値になるはずです。
ですが、徐々に内製化が進んでいき人数が増えてくると、解くべきイシューも変わってくるので、我々が提供できる価値も変化するのが自然です。最終的に、ほとんどのイシューを社内人材で解決できるようになるのが理想であり、それを支援したいと思っています。
 
 
また、これを実現するため、料金体系も月額報酬を基本として、1ヶ月更新という形にしています(2023年10月時点)。クライアントと中長期で関わっていくにあたり、会社の状況も刻一刻と変わると思うので、必要なコミットの量も調整できた方が良いという思いに基づいています。
弊社としても、毎月毎月成果を出し続けることで契約の更新につながるというメリットがあるので、どちらかが損をするという構造になりづらく、中長期的なパートナーとして関わるのに適していると判断しています。
 
 
 

組織の人材に投資する

 
3つ目は、自社の人材に投資していくということです。
 
受託開発・コンサルティング系の会社全般に当てはまることとして、価値の源泉は自社の人材にあります。優秀な人材に参加してもらい、長く働いてもらえるようにすることが、そのまま会社としての提供価値に繋がります。
したがって、弊社としては、社内人材・外部パートナーに満足して働いてもらえるような、待遇と環境を用意することが最優先事項だと考えています。人材価値を高めることにより、クライアントへの提供価値を最大化するサイクルを回すことが出来ます。
 
これはまだまだ考えているだけの段階であり、実態としては社内の制度や環境も何もない状態です。これから徐々に環境を整えていこうとしています。ゼロから作っていくのが好きだという方、大歓迎です。
 
 

おわりに

 
ここまで読んでいただいた方、ありがとうございます。
 
色々考えていたり、やりたいことはあるのですが、創業したばかりなので何もなし得ていない状態ではあります。目の前のクライアントに対して、1つ1つ価値を提供していくことで、コツコツと理想の状態を実現していこうと思います。
エクイティで資金調達する予定はないので、急に人材を増やすことはできませんが、業務委託等で関わってくれる方は常に募集しているので、ご興味ある方はお声がけいただけると嬉しいです。とりあえず話を聞いてみたいという方も大歓迎です。
また、これからデータ活用を進めたいと考えている、データ担当者・経営者の方におかれましても、ぜひプロジェクトをご一緒できたら嬉しいので、ご連絡いただけると幸いです。
 
ご連絡は、TwitterのDM or 弊社問い合わせフォーム からお願いします。
 
 
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
 
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